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『人獣細工』/小林恭三~人間の定義が…~

ホラー小説

YouTubeの動画を眺めていると、最近何故かホラー小説をおすすめする動画によく出会うようになりました。

そして、紹介動画を見た中で、つい手に取ってしまったのが、この1冊です。

人獣細工/小林恭三

あらすじ

少女は、先天性の重い病気のために、ほとんどの臓器に欠陥がありました。そのために、生後間もない頃から主治医である父によって、度重なる移植手術を受けていました。

パッチワーク・ガール。そう。
私は継ぎはぎ娘。
その傷痕の下には私のものではない臓器が埋められている。傷痕を見ていると皮膚が透けて、臓器がゆっくりと蠢動し、じゅくじゅくと液体が染み出してくるのが見える――。

『人獣細工』本文より

生きていくための手術だからとはいえ、見た目に損傷が残るのは、少女にとってはあまりにもつらいことです。

そこで彼女は高校生の頃に皮膚移植をすることを父にねだります。

彼女が大人になる頃、父が病気で他界します。その後、何もやる気になれなかった彼女は、父の死後1年くらい経った時に、そのままになっていた父の部屋を片付ける事にします。

父が残した研究記録の山、山、…

そこで彼女が見たものは…。

豚の臓器を全身に移植された少女の絶望を描くホラー作品です。

感想

もし、自分の体の中にぶたの臓器が入っていたらどう感じるだろうと想像してしまいました。

現代医学では、靭帯や腱、皮膚などは、自分のもの、人工のもの、牛や豚のものを使って再掲する方法があるので、その延長線上に「臓器移植」があっても不思議ではないのかも知れませんが、それは、医療というよりは実験の要素を強く感じる手段だと思います。

医療技術の進歩がもたらす倫理的な問題が、どーんと頭の上にのしかかってくる感じでした。

そして、命の尊さと、命の境界について、考えさせられました。

どこからが人間で、どこまでが人間なのか…。

なんとも言えない怖さを感じました。

コメント

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