Kindleの「あなたへのオススメ」のラインナップに並んでいた中でタイトルに惹かれて読んだ短編集です。
いい意味で期待を裏切る物語です。
夜明けの縁をさまよう人々/小川洋子
概要
『夜明けの縁をさまよう人々』は、小川洋子による短編集で、静かな筆致の中に官能性やフェティシズム、深い喪失感が漂う作品です。各短編は、不思議な出来事や人物の心理に焦点を当て、読者を引き込む魅力があります。物語は、平凡な日常の中に潜む異質な体験を描き、読者に深い印象を与えます。
世界の片隅にひっそりと生きている一風変わった人たちわ描く9編の短編集。それぞれの話の主人公や登場人物の個性が面白い。
「芸と野球」「教授宅の留守番」「イービーのかなわぬ望み」「お探しの物件」「涙売り」「パラソルチョコレート」「ラ・ヴェール嬢」「銀山の狩猟小屋」「再試合」
感想
一つ一つの短編は、何気ない日常を描いているところから不思議な世界に迷い込んでしまう感覚を落ちる話、いきなり驚かされる話と、色々な切り口から始まる展開に飽きることなく読めました。
読み終わってスッキリするような結末がある話ではありませんが、その分、じんわりと余韻が残りました。
「世にも奇妙な……」のあのテーマソングが流れてきそうな感覚です。
最初に野球の話から始まり、最後にも野球の話でしめくくる構成で、「この作者は野球が好きなんだなぁ……と思いました。
著者の小川洋子さんは「博士の愛した数式」や「妊娠カレンダー」で有名な方ですが、この短編集でも、独特の世界観と濃厚なストーリーを味わうことが出来ました。
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